CAS-EV開発推進部が自らEV化したワーゲンバス

移动x能x通信=连通社会

CASEがもたらしたインパクト、CAS-EVが目指すもの

住友電工グループの総合力を武器に

住友電工グループはCASE 時代への対応を、自動車メーカーの要請に応えて新製品を開発・供給する限定的なものとは考えていない。住友電工グループが総合力を駆使して目指すのが新しい未来の街=「Connected Society」である。誰でも、いつでも、どこへでも「つながりあえる」社会を意味する。たとえば、「モビリティとエネルギーを融合させる技術で新しい社会インフラを創造する」「人、クルマ、モノそして社会がつながる技術で、自由で安全、快適な移動を実現する」「クルマや家、街をつなぐ技術で、エネルギーシェアリングを社会全体に浸透させる」など、住友電工グループの総合力を発揮する引き金となるのが、CASE の登場と言ってもいい。自動車事業本部副本部長を務める井上雅貴は、こうした変化を「正常進化」と表現した。

井上雅貴
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「CASE の登場で旧来のビジネススキームが崩れ、劇的な変化が起こりつつあるものの、住友電工はシームレスに正常進化していくと考えています。住友400年の歴史は、世の中の変化、社会の要請に応じて事業を拡大し、時代に対応してきました。今回のCASE という世界的な自動車産業の変化に対しても、住友電工は社会にどのように役立つことができるかを考えて実践していく。今までのやり方が通用しない困難さはありますが、その壁を越えて、市場や顧客に評価される成果を生み出していきたい。そしてCASE という新たな変化に対応していくためには、まず勇気を持って踏み出していくことが大切です。CAS-EV開発推進部の行動指針でも、当事者意識で変革の時代にアクティブに挑戦することを掲げました。前向きな自己否定の取り組みがCASEV 開発推進部の成長を促し、成果を生み出すと考えています」(井上)

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では、具体的にCASE の時代における住友電工グループの強みは何なのか。

「クルマはどう使われようとしているのか、クルマに何が求められているのか、そのユースケースを明確にする必要があります。今までは、過去の実績や現状の課題から未来を考えるフォーキャストの視点が有効でしたが、これからは、あるべき姿を描いたうえで、そこから逆算し今何をすべきかを考えるバックキャストの思考が必要です。我々は長年にわたって電気ケーブルや通信ケーブルにおいて知見を培ってきました。CASE における『Connected』を実現する高速通信や『Electric』領域の電動化は当グループの強みと言えます。加えて、当グループには多彩な要素技術があります。CASE で必要とされる焼結、巻線、各種デバイス、情報通信など、こうした要素技術をアレンジできるのは当グループのみと自負しており、我々のポテンシャルをフルに発揮できると考えています。その際、いかにニーズとシーズをマッチングさせ、新しい価値を生み出すかが重要です。コア事業であるワイヤーハーネスにおいても、付加価値の高い新たなメソッドの『将来ワイヤーハーネス』を目指していく考えです」(井上)

パートナーというポジションに立つ

井上が語ったビジョンを実践するのがCAS-EV 開発推進部であり、その部を牽引するのが部長の平井宏樹である。CASEに直接関わるようになったのは、CAS-EV 開発推進部の前身であるCAS-EV開発推進室の発足以来である。

「CASE 以前は、自動車メーカーから図面を渡され、作るべきものは明確でした。しかしCASE の登場で、取り巻く風景は一変しました。クルマメーカーと一緒にクルマの新たな価値を創出することを要請されたのです。それは、今までのようにメーカーのTier1ではなく、いわばTier0.5になることを意味します。つまり、クルマには何が求められてくるかといった大局的かつ俯瞰的な視点から、クルマの価値は何かという根源的な議論が必要となります」(平井)

クルマの価値を考えるということは、本体のみならず、取り巻くインフラを含めて検討していく必要があった。それは必然的に、社会全体を考えていくことにつながっていった。ここで留意したいのは、住友電工グループの取り組みは、CASE 対応製品を開発・生産することを最初から目的としたものではないということだ。クルマの価値向上、新たな価値創出のために何が必要か。それが出発点である。だが、それは今までの仕事のやり方をドラスティックに変えることを意味した。CASEを引き金に、いわば自動車メーカーと協働する立場となったのだ。「マインドチェンジが必要」と平井は思った。そしてマインドチェンジの象徴となったのが、EV(電気自動車)の製作である。

クルマ目線を持つ、マインドチェンジの必要性

平井宏樹
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「CASE における自動車メーカーの悩みや課題を解決するためには、我々がクルマ目線を持つ必要があります。従来は、あくまでワイヤーハーネス目線に過ぎなかった。そこで『我々でクルマを作ろう』と部員に呼びかけました。その作業を通じて、クルマ目線を獲得できるのではないか。それがクルマの価値を高める具体的な提案につながっていくのではないかと思ったのです」(平井)

平井ら自動車製作メンバーは、古い「ワーゲンバス」を購入し、EV に改造する取り組みを開始した。目指したのは、いかに簡単にEV を作るか。モータ+インバータ、電池パック、シャシという基本的なEV のプラットフォームを構想し、自分たちで設計し組み立て、評価した。海外のエンジニアリングメーカーのサポートを受けつつ、約2年かけてEV は完成、サーキットで試乗した。

「メンバーはクルマ目線でクルマを考えるクセが付いたと思います。このEV を自動車メーカーに見てもらう機会も設けました。我々がクルマを作ったという事実は、インパクトが小さくなく、自動車メーカーと上流レイヤーでの議論が増えてきています」(平井)

自動車メーカーの担当者を招いて議論する場が、新たに設けた「NEV(ネブ) 展示室」だ。CASE 関連製品の展示室ではあるが、平井は議論を通じた「修練の場」と言う。つまり、開発パートナーに成長するための修練の場。すでに700名以上の自動車メーカーの担当者と熱い議論を交わしてきた。その過程でメンバーは多くのものを吸収し、着実な成長を遂げている。

CAS-EV開発推進部が自らEV化したワーゲンバス
CAS-EVQQE

下游

CASE時代におけるワイヤーハーネスの使命
~モノづくりへのこだわり、モノづくりが変わる~

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