レドックスフロ,電池の電力卸売市場での運用を開始
~米国カリフォルニア州にて,蓄電池の複合的な運用による経済性向上手法を検証~
再生可能エネルギーの連系量拡大に伴う電力品質確保や,電力の効率的な運用,停電時の対策など様々な点において,蓄電池への期待が高まっています。住友電工は,これまで安全か長寿命が特長の大型蓄電池レドックスフロ電池の開発を進めてきました。そしてこのたび,当社と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はレドックスフロー電池による米国カリフォルニアの電力卸売市場への入札,電力取引を開始し,最も収益が見込める運用手法を検証していきます。
カリフォルニア州は,2045年までに州内の電力の100%を温室効果ガスを排出しないエネルギーで賄うとする州法SB100を成立させるなど,再生可能エネルギー導入に関して高い目標を掲げています。こうした中,太陽光発電の増加による朝夕の急激な需要変動や電力品質低下の問題が顕在化しつつあり,この変動調整が急務となっています。そこで,州法において蓄電設備の導入義務を電力会社に課すとともに,蓄電池で適正な収入を得られるような電力卸売市場の新制度設計を段階的に行っています。
本実証では,カリフォルニア州の送電網を運用・管理する機関CAISO *が開設する電力卸売市場に対して,同州に設置したレドックスフロー電池設備を用いて,入札,電力取引を開始しました。その電力卸売市場においては,再生可能エネルギーの導入拡大によって,周波数調整のような短周期の出力(キロワット:千瓦)を提供する調整力と同様に,エネルギー供給のタイムシフトのような長時間の電力量(キロワットアワー:千瓦时)を提供する供給力が求められています。レドックスフロー電池は,充放電の深度や回数に制約がないため,短周期の出力と長時間の電力量のいずれの充放電要求にも適しており,これらの短周期と長時間の変動を同時に出力することにより,多目的かつ柔軟な運用が可能であると期待されています。
本実証において,電力品質を維持するため短周期の供給力を調達する”アンシラリーサービス市場”と長時間の供給力を調達する“卸電力取引市場”など複数の取引を柔軟に組み合わせ,季節や時間帯に応じて最も収益が見込める運営方法を検証し,レドックフロー電池の経済的価値を高めていきます。
* CAISO:加州独立系统运营商(米国カリフォルニア州独立系統運用機関)