当社は2017年に設立した物联网研究開発センターを中心に,製造現場でのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し,物联网/ AI技術を活用した生産性向上や安全性向上などに取り組んでいます。その一として，熟練作業員が行う製品の外観検査を自動化する不良判定aiの開発を行ってきました。しかし,不良判定AIに高度な判定基準を学習させるには,様々なパターンを網羅した大量の学習データを用意する必要があります。学習データの収集には多大な時間とコストがかかることから,当社はじめ製造業各社では不良判定AIの活用が十分に進んでいないのが実状です。

この課題に対し,実在する学習データがごくわずかしかない状況でも,熟練作業員に匹敵する不良判定が可能なAIの開発を目指したのが本取り組みです。当社の有する”不良判定技術”で,AIが誤認判定してしまう苦手パターンを予測し,(株)データグリッドの有する“疑似不良生成技術”で苦手パターンの不良データを生成します。さらに,生成されたデータで不良判定AIが再学習する“苦手克服学習技術(弱点トレーニング・ループ)“を繰り返し行い,苦手パターンを克服し,不良判定AIの精度を高めることを目指します。